木造住宅の耐力壁
耐震壁について

阪神淡路大震災では、住宅倒壊の原因の一つとして、耐力壁の不足があったとされています。木造住宅の場合には、筋交いや耐力壁が無い場合には、地震、台風などによる横からの応力に脆くなることは明らかです。耐力壁は、住宅の重量も支える必要性から、2階部分よりも、1階部分により多く耐力壁が必要となります。

阪神大震災から得た教訓

日本建築学会近畿支部が1995年9月に発表した「1995年兵庫県南部地震 –木造建物の被害-」からの抜粋です。
木造家屋被害に対する構造部材の蟻害・腐朽による劣化の影響
大阪市立大学生活科学部 土井正・宮野道雄・北本裕之
パシフィックコンサルタンツ ㈱ 総合研究所 呂恒倹
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3.5 東灘区の調査地域の蟻害・腐朽について
本震災において、多くの緊急調査が実施され、マスコミ報道を含め、「老朽化」した木造家屋の倒壊が多く指摘されているが、主要耐力を受け持つ軸組み構造部材である木材について「老朽化」と一言で表現するのは適当ではない。木材の「老化」とは材質の長時間における物理化学的な変化であり、「朽」とは腐朽菌による腐朽やシロアリ等の食害すなわち生物変化に他ならない。木材の物理化学的な変化は紫外線や熱により促進されるが、きわめて反応速度は遅く、とりわけ屋根や内外壁で被われる構造部材においてはほとんど無視し得るものである。一方、腐朽菌やシロアリによる生物劣化は「老化」に比べて進行速度が著しく速く、また強度低下も大きい。多くの場合、その発生は前後するものの腐朽と蟻害は同時に同じ家屋に認められることが多い。
ハウスガードシステムは耐力壁の耐震性能を維持します

耐力壁は、単に設計施工するだけでは、その価値は半分にも満ちません。耐力壁の品質を長期間保ち、いつ来るか分からない地震、巨大台風に備えることができればようやく一人前といえます。
一番の問題点は、耐力壁は「壁の中に隠れている」ことです。「隠れている」木材が、シロアリや腐朽菌に侵食されていても、壁を破って確認しない限り、状況が分かりません。例え、侵食されていることが分かっても、多額の修繕費用がかかってしまいます。「侵食されていても、隠れて分からない」壁が、時限爆弾のように地震を待っている状況は、何としても避けたいものです。
ハウスガードシステムでは、耐力壁の1階部分すべてに『緑の柱』を使います。『緑の柱』を使うことで、シロアリや腐朽菌に侵食されることにより発生する、耐力壁の強度劣化が、起こりません。「長持ちの家」が実現します。正に「見えないところ」へ「保険をかける」のが、ハウスガードシステムが主張するところです。
耐力壁の耐震性
耐力壁の素材別、耐久性能の実験
構造に必要な耐力壁の木材が違うと、耐久性能がどのように違うのか?
ハウスガードシステムの「緑の柱」を使用した耐力壁とヒノキの芯持ち材(無処理材)を使用した耐力壁の耐久性能を比較しました。
加圧注入木材を用いた試験
関東学院大学副学長 中島正夫 日本木材防腐工業組合平成21年】使用した試験体

実験結果①
筋かい耐力壁
ヒノキ芯持ち材による耐力壁は最大変位が大きく、剛性が維持されていません。
それに比べてハウスガード処理材による耐力壁は、最大変位が小さく、剛性がたもたれています。これは無処理だったために土台・柱部分が腐朽し軸材としての強度を低下させていたのに加えて、接合金物を固定していたビスの保持力を失ったことが理由として挙げられます。


実験結果②
面材耐力壁
ヒノキ芯持ち材による耐力壁では釘を保持すべき木部が腐って保持力が低下していること、逆にハウスガード処理材の場合には、土台・柱などの釘を保持する木部が充分保存されているために最大荷重が増大したものと考えられます。


まとめ
耐震性能に必要な耐力壁に腐れが発生すると、工法に関わらず「耐力が劣化する」といえます。どんなに良い工法や金物を使っても、構造材が腐っては、充分な耐力は保持されません。
