家づくりの知識

シロアリの生態と住宅被害の関係を徹底解説!
~耐久性とメンテナンスを考える~

更新日:2026.06.16/公開日2026.06.16

皆さんはシロアリと聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
木材を食べる生き物、羽アリを見たことがある、あるいは見たことがなくよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、「住宅に被害を及ぼす生き物」として危険な存在と認識している方も多いと思います。

本コラムでは、普段なかなか知ることのできないシロアリの生態と、なぜ住宅に被害をもたらすのかについて、わかりやすく解説していきます。

シロアリはゴキブリの仲間?

シロアリは名前の通り「アリ」の仲間と思われがちですが、実は「ゴキブリ」の仲間に分類されます。一方で、普段よく目にするクロアリはゴキブリではなく、「ハチ」の仲間に分類されます。シロアリとクロアリには、いくつかの明確な違いがあります。
① 触覚の形
② 羽アリの翅の形
③ 胴体の形状
④ 体の色(羽アリ以外)
これらの違いは、ゴキブリとハチの体の特徴を比較すると理解しやすくなります。
例えば、触角はゴキブリがまっすぐ伸びているのに対し、ハチは途中で曲がっています。羽についても、ゴキブリは前後の羽がほぼ同じ形であるのに対し、ハチは前後で大きさが異なります。さらに、胴体はゴキブリが寸胴であるのに対し、ハチはくびれています。
羽アリ以外であれば体の色の違いから比較的見分けやすいですが、羽アリの場合はどちらも黒っぽい色をしているため、見分けが難しい場合があります。
これらの特徴を知っていても実際に判別するのは容易ではありませんが、住宅を守るうえで知識として持っておくことは重要です。

シロアリとはどのような生き物か

シロアリは北海道の一部を除き、日本全国に生息しており、一年を通して活動しています。 「社会性昆虫」と呼ばれ、コロニー(集団)を形成して生活する生き物です。

■ シロアリの自然界での役割

コロニーの中では、女王、働きアリ、兵隊アリといった役割が明確に分かれており、ひとつの巣で数万~数十万匹が存在するといわれています。女王アリは卵を産み続け、コロニーを維持・拡大します。働きアリは餌の確保や巣の維持を担い、実際に木材へ被害を与えるのもこの働きアリです。兵隊アリは外敵から巣を守る役割を担い、木材を食べることはありません。
世界には約3,100種類、日本には約22種類のシロアリが存在するとされています。その中でも、住宅被害で代表的なのが「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。また近年では、外来種である「アメリカカンザイシロアリ」の被害も確認されており、主に輸入家具などから侵入するとされています。
シロアリは木材そのものを食べているわけではなく、木材に含まれる「セルロース」という成分を栄養源としています。このセルロースは段ボールや書籍、畳などにも含まれているため、これらも食害の対象となります。
このように聞くと厄介な生き物に感じられますが、自然界においては「分解者」として重要な役割を担っています。枯れ木や倒木を分解し、土へ還すことで森林の循環を支えているのです。
しかし、本来は森林で発揮されるこの働きが住宅に使われる木材に向けられた場合、構造を脅かす深刻な被害につながります。つまりシロアリは、自然界では不可欠な存在である一方で、住宅にとっては大きなリスクとなる存在でもあるのです。

シロアリはどこにいるのか

シロアリを見たことがないという方が多い理由は、その生活環境にあります。
シロアリは基本的に土の中で生活しており、地上に姿を現すことはほとんどありません。また、光や乾燥を嫌うため、目に見えない場所で活動しています。シロアリは視覚がほとんど機能しないため、周囲を探りながら餌を探し続けます。その過程で、公園の木製遊具や庭の杭、切り株などに現れることもあります。
つまり、住宅を狙って侵入しているわけではなく、「たまたま進んだ先に住宅があった」というのが実態です。

また、一定の時期になると羽アリとなって分散する習性があります。

羽アリはコロニー内のニンフが成長したもので、風に乗って移動し、到達した場所で羽を落として新たな巣を形成します。羽アリの発生や羽だけが大量に落ちている場合は、巣からの飛び出し、あるいは新たな侵入の可能性が考えられます。そのため、早めに専門業者へ相談することが重要です。
熊本地震の調査でも、ハウスガードシステムで建てられた住宅は倒壊が確認されませんでした。現実の災害においても、その耐久性能が発揮されています。

■ シロアリ被害

シロアリは日本全国に生息し、年中活動しています。主に土の中から床下に侵入し、柱や土台など家を支える重要な部分を食べてしまいます。特に厄介なのは、表面だけ残して中身をくり抜く、気付いた時には被害が広範囲という特徴です。見た目は何ともないのに、実際には空洞化して強度が著しく低下していることも珍しくありません。
シロアリ対策というと「駆除」を思い浮かべる方が多いですが、本当に大切なのは**そもそも侵入させない“予防”**です。

■ 腐朽腐れ

もう一つの原因が「腐朽菌」による劣化です。腐朽菌は木材の成分を分解してしまう微生物で、いわば“木材を溶かす菌”。気温・水分・酸素・栄養の条件が揃うとどこでも発生します。日本は高温多湿の気候のため、腐朽菌にとっては非常に活動しやすい環境です。腐朽が進むと木材は痩せ、構造強度が落ちるだけでなく断熱性能の低下や結露の発生にもつながります。
つまり木材の劣化は、耐震性だけでなく快適性にも大きく影響するのです。

シロアリはどのように住宅へ侵入するのか

シロアリは土中に生息しているため、多くの場合、住宅の床下から侵入します。「ベタ基礎だから安心」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。
コンクリートは経年により収縮し、セパレーター跡や配管貫通部などに微細な隙間が生じます。一般的に10年程度で約1mmの隙間が発生するといわれており、シロアリは約0.6mmの隙間があれば侵入可能です。
さらに、シロアリは「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルを作り、光や乾燥を避けながら住宅内部へ侵入します。そのため発見が遅れやすく、気づいたときには被害が進行しているケースが多く見られます。
また、シロアリは木材の表面を残しながら内部を食害する特徴があるため、外見では異常に気づきにくい点も注意が必要です。構造材が被害を受けた場合、住宅の強度は大きく低下してしまいます。
対策としては「駆除」が一般的ですが、最も重要なのはシロアリを侵入させないための「予防」です。

住宅は「建てて終わり」じゃない

多くの人にとって住宅は、人生で最も大きな買い物です。だからこそ見た目や価格だけで選ぶのではなく、「将来のメンテナンスコスト」「地震後の安全性」「家族が住み続けられる期間」まで含めて考える必要があります。
教育費、医療費、生活コストが増えるなかで、不要な修繕費に追われない家を選ぶことは、家計を守ることにも直結します。

【まとめ】

シロアリは決して特別な環境だけに発生するものではなく、どの住宅にも起こり得るリスクです。 その被害は目に見えない場所で進行し、気づいたときには大きな修繕が必要になることも少なくありません。

だからこそ重要なのは、「被害が発生してから対応する」のではなく、「被害を未然に防ぐ」という考え方です。住宅の耐久性を守るためには、シロアリの侵入を防ぐ予防対策が欠かせません。

次回は、シロアリから住まいを守るための具体的な対策について、わかりやすく解説していきます。


この記事を書いた人

株式会社コシイプレザービング /ハウスガードシステム・CRサービス営業スタッフ

湯浅泰介 | T. YUASA

これから家を建てる方へ、永く安心・安全で快適な住まいを実現する情報を発信。br 工務店との情報交換や床下点検・しろあり予防工事100棟以上の経験を活かし、後悔しない家づくりを分かりやすくお届けします。